続・「冷血」龍口訳

先日ちょろっと書いたばかりですが、昨日また続きを読んでたら、出るわ出るわ「わし龍口節」。
例えばね、犯人の「わたし」じゃなくて、「おれ」な方は、ディックっていうんですが、このディックは青い目の金髪なんです。で、刑事の1人がこのディックの両親を訪ねるんだけど、お父さんがね、「うちのディックは良い子です」ってな話をする中で、ディックが家を出る前に自分(お父さん)にこう言ったって言うんですよ。

「とっつぁん、とっつぁんはおれにとてもいいとっつぁんだったよ。もうこれ以上とっつぁんを困らせるようなことはけっしてしないぜ」って。

ルパンかっ!
古くは八つ墓村かっ!

どっちにしても、それはないでしょう、直太郎。

だけど、ここまでくるとビアンカじゃないけど、「こんな話はまだまだあるんだからねっ」って感じで、私としては段々楽しくなってきてしまいました。
って、そんなくだらないことばかり書いててもしょうがないので、一応ちゃんと小説の紹介もしておきますが、1959年の11月15日のアメリカはキャンザス州(龍口はカンザスとは言わない、ついでに龍口はキャリフォーニアとも言う)の小さな農村で一家4人が惨殺された事件をカポーティが長い年月をかけて取材して、6千ページにもなるデータを「切断し、構成し、圧縮し、さいごに磨きをかけて343ページの“小説”に仕上げた」(訳者解説より)ものがこの「冷血」なのです。で、映画「カポーティ」はこの取材中のカポーティにスポットを当てたものみたい。

それから、この小説は「ハーパー・リーに捧ぐ」となってて、このハーパー・リーは私が前にも書いた「アラバマ物語」の作者あんどこの作品でピューリッツァー賞をもらった人で、カポーティとハーパー・リーは幼なじみなんですね。ってのは、その時パピさんに教えてもらって私も初めて知ったんですけど(コメント欄参照)。で、カポーティはこの事件の取材にハーパー・リーに同行してもらったんだそうです。ほんとに仲良しだったのですね。

まだ半分ちょいまでしか読んでないため、核心的な部分には至ってないんですが(昔読んだけど忘れちゃった)、この小説の要となるのは、犯人の動機です。なぜ、ペリー(わたし)とディック(おれ)は4人を殺したのか?ってこと。金銭目当てでもこの家族に恨みがあったわけでもないんですね。この2人はいきなりその家に押し入って4人を殺しちゃったんです。だから、正確には殺人の動機ではなく、なぜこの2人は「殺人者になってしまったか」というところだと思いますが、そこらへんはまだ分かりません。ただ、カポーティはこの「冷血」を発表して以降、小説は書いてないのです。だから私としては事件そのものや犯人の動機などとは別に、「カポーティから筆を奪った出来事(取材)」という意味でもとても興味深い一冊なのでした。なので、他人による「カポーティ」なる映画を見るよりも先にカポーティ自身による「冷血」を読んでおきたいのです。と言っても龍口訳がネックになってるわけですが…。
22:33 | 海外の本 | comments (4) | trackbacks (0) | edit | page top↑
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comments

#
こんばんは。
私もこれはずい分前に読んだので、忘れてましたが
こんなんだったんですねぇ。
新訳と、どっちを読もうかなと、やっぱり映画の前にと思ってたのですが。。
「とっつあん」には笑ってしまいそうだけど、逆に読んでみたい気もしてきました。ネックになるような訳っていうのも。
気になります。
三五子さん | 2006/10/30 19:34 | URL [編集] | page top↑
# 三五子さんこんばんは。
こんなんだったんですよ〜。

事件が起きたのが50年代ということを差し引いてもやっぱり古すぎるだろうと思います。だってその当時のアメリカ映画を見ても「とっつぁん」とか30歳の若者に「わし」なんて字幕はついてませんもんね。

またなんか出てきたら記事にしちゃうかもしれません。
結構龍口訳のトリコになってるかも…。
マルディちゃんさん | 2006/10/30 21:48 | URL [編集] | page top↑
# 映画「カポーティ」
マルディちゃあん、

わし、わし、パ〜ピおうじ、じゃがぁ、笑

で、疑問の殺人の動機、断筆に至るカポーティの心情なんかも映画には出てきますぞっ。

フィリップ・シーモア・ホフマンの怪演、名演ぶり、また見たくなってきたなぁ。 タワレコ、閉店セールで物色するかぁ!
パピさん | 2006/10/31 04:44 | URL [編集] | page top↑
# パピ玉子こんばんは。
今日ようやく2人が逮捕されました!
お家に押し入った動機はちゃんとあったのですね。
映画早く観たいけど、このままだとDVD待ちになってしまうかも〜。
マルディちゃんさん | 2006/10/31 23:52 | URL [編集] | page top↑

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